それぞれの夜
八月のさかな


どんなに顔がくずれても
涙がかわいたらお化粧をなおして笑顔をつくる
顔を洗ったらまた泣けばいい
悲しみや寂しさは敵じゃない

どんなに足が痛くても
夜がくればねむり、朝がくれば目をあけて
歩きだすことはやめられない

だから今夜は
いつもよりすこしふくらんだまぶたを
明日のためにあたためてねむる

それがわたしにとっての生きていくということ


胸をしめつけるこの痛みも
いつかゆっくりわたしに溶ける

いくつもの悲しみをやさしさに変えて
またいつか、いとしさに巡りあえますように



自由詩 それぞれの夜 Copyright 八月のさかな 2009-07-05 23:09:22
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