=Dear Afternoon=



親愛なる午後

ふぅっとため息をついた午後のダージリン
一滴の琥珀色をした涙が落ちてさざめくように金色スプラッシュ

真夜中の電話

名前も知らない誰かの声に懐かしさを重ねて灯す
遠いどこか知らない島で起こった漣が静かに私の窓を低周波で揺らす

桃色ブランチ

知らない間に時間は進んでいるのだ私の中に予感が揺れて波紋のように広がっていく
気づかないようにしていた桃色の朝が、光を運んでくるのを

冷めかけたプーアル茶

忘れないようにしていた群青色のひんやりとしたヌクモリヲ
黒色ではない 褐色でもない 深く沈みこむような群青色の香り

暖かい雫

始まっていた何かに気づいたときに 失くしてしまったものを一生懸命に探しても見つかるはずもなく とうとうと揺れている蜃気楼みたいに 映りこんでしまった窓辺の人影に重ねて 自分の鏡の姿を追いかけているような夜
終わってしまったのだ 弾け飛んだ金塊の破片をこの手に握り締めたときに

大地にそびえ立つ切り崩された岩山に注がれる透明な水の中に揺れながら 照れて流れる







自由詩 =Dear Afternoon= Copyright  2009-07-05 17:03:06
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