オーバーヘッド-ステアリングの最低全力逃走【純色青色Escape-Ⅰ】
北街かな

誰かが再び逃げては死ぬ真似をするための黄昏だ
昇ってまた焼け落ちるばかりの陽は淫らに中心から裂け
日ごとに爆発を激しくするばかり
親愛なる友人個体群の絶滅は容赦なく海岸まで迫り来て
平穏無事を分子レベルで破壊している様子だが
凶悪犯は非常に軽い物体であり、速度もロケット程度には速く
パトもraysも余裕で避けて異次元磁界へ逃げ去る始末だ
――なんて日没があったものか!

「生命のすきまに挿入されている
 びしょぬれの欲情は犯罪ですか?」
新生園児が金属バットで試し殴りしていたのは
泣き腫らした裸の妊婦でした
「ある方法で一定間隔に《それ》を行いなさい、
 外しかたやおろしかた等は自身で編み出してみたまえ、」
と、言い聞かせてから
私は街から逃走しました

――この体!

私は主体も目的も曖昧なままに実体についてを黙秘する
私は私の居る国と私の有するものと私に関する総ての所在を証明しないし答えない
死んでも波風は立てずに流されるままである
私が私のままで無くなっていても
仕方がないと笑ってみせます
そいつは物凄い速度で水蒸気量が低下しています
変革は凍結してゆく両の手の
内と外で同時に起こり続けている、
現地点より最速の逃走および絶対安全確実なる脱出策については
高度複雑化過干渉性情報の流動式攻撃陣形による魔術性の同調圧が最大の阻害因子であると同時に唯一無二なる私の属性守備呪文で御座いますゆえ、

驚くべきは、此処にある
全くもって、物質たる私の実在なのです

――よってこの体は逃走する!

嗚呼、私の規定する正しきが貴方との共同の光源であるとしたら間違いなしに天恵だろうが――現実的帰結から類推して矢張それは望めぬというんだったら、手を空に伸ばし
高く掲げ、絶唱しながら
操舵装置をぐるんぐるんして路上から
見事に脱落してみせましょう、
 ↓↓↓↓
 ↓↓↓↓
--dead-END--

《《 空中回転する哀れな子羊を
  指差し嘲る、その所作で
  地獄へ誘導願います 》》

なので、私は逃げました
私は《それ》はもちろんのこと
《あれ》や《これ》に至っても拒絶しました
思わず声をあげ挙動を乱して惑いました
私には、本当に意志があったようです
ためしに囲んで脅迫してみよ
そんなことをすれば、屈するのは時間の問題です

私が逃走する、私の声から逃走する
逃げるほどの《それ》が何か は 申し訳ありませんが
秘密にするほどのあれ でもない
未熟な夢の呪いです。


自由詩 オーバーヘッド-ステアリングの最低全力逃走【純色青色Escape-Ⅰ】 Copyright 北街かな 2009-07-04 20:18:00
notebook Home