コンクリート詰めの死体
あおば

                    090628





怖い光景が続く
乾涸らびた海の底からは
毎日二三個の死体が上がる
魚が居なくなったので
コンクリートに詰めて捨てるのが
常識となった
それからしばらくして
遺跡の畔で甕棺が出土され
珍しいと
研究者が集まって
新聞記者や
街の好事家
町興し名人や
暇なご隠居
真面目な小学生たちが
輪の外で
背伸びをして
中の様子を窺う
結局
バブルの時代の
偽造品と分かり
あっという間に人々は居なくなり
金儲けも
町興しにもならないと
苦情を言いたくなったが
容疑者が見つからない
悪いようにはしないから
正直に申し出るようにとの張り紙を
遺跡の外れに掲げたが
もちろん
誰も私が企てましたと申告したりはしないので、
その掲示は
責任逃れのためと分かる
誰に対しての責任かというと
それがよく分からないのですが
どこからか湧き出てくるらしい
クレーマーに対するものらしい
確としたことが書けないのが口惜しい

台所の隅で
物音がすると
物の怪の気配かと
怖がる人もいるが
もっと怖いのは
御器被りや家ネズミ
猫が居るうちが羨ましいが
猫は
粗相をしたりしても
自分で後片付けをしてくれないから
困る
自転車の車輪が
くるくる回る
何処へ行くのだろうとか
思っているうちに家並みの向こうに消えた
コンクリート詰めの死体の件は
明日片付けなくてはいけないと
ケータイで業務連絡が入る
最近はこのようにして生きている企業も多く
収入の殆どが見えないもので費やされて
定食の御飯の量が少なくなったのを感じる
サプリメントが売れるのも
そのような理由なのかも知れない


自由詩 コンクリート詰めの死体 Copyright あおば 2009-06-28 13:16:36
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