普通に
蓮沼 栞
いつもの普通が、
普通じゃなくなる瞬間、たまらなく怖くなるのは自分だけなのだろうか?
ある日、
繋いだ母の手が、違う女の手だった。
お昼にいつも食べるおにぎりに、誰かの指が入っていた。
家の前でゴミをつついている鴉が、自分の悪口を言っている。
サングラスを外して拭いた雨粒が、血の色をしていて
綺麗にしていた顔が、目を背けたくなる程に醜くなっていた。
まばたきをして目を開くと、知らない世界が広がっている。
想像して
これが僕の世界
おかしいのは僕?
それとも、僕が生きるこの世界
なのだろうか