恋人
たもつ

 
 
並んで座っている父が
僕にもたれてくる
落っこっちゃう、と言って
体を預けてくる
床から目まで
わずか数十センチの高さが
怖くて仕方ないのだ
ねえ、お父さん
お母さんや僕の奥さんには申し訳ないけど
今度もし生まれ変わることができたら
僕はお父さんの
お嫁さんになってもいいと思う
他人になったとしても
血の繋がらない愛でしか
できないこともあると思う
こうして二人
肩を寄せ合っていると
カップルに見えるかな
公園のベンチや映画館のシートじゃなくて
もう病院の待合室や
ベッドの端でしかこうしていられないけど
最後まで仲良く添い遂げる
二人に見えるのかな
 
 


自由詩 恋人 Copyright たもつ 2009-06-22 16:25:47
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