雨曜日
nonya


昨日と同じ色の朝の
昨日と同じ匂いの時間に
気紛れに買ってしまった
オリーブグリーンの傘を開く
慣れきった慌しさのほとりに
淡い緑色の翳が落ちて
治りきらないささくれの端を
少し丸めてくれる

穏やかに降りしきる雨は
朝の喧騒さえも優しく手なずける
湿気で膨らみ過ぎた肋骨には
タイヤの軋みさえ反響しない
囚われ人のような視線を
舗道の上に這わせながら
執拗に語りかけてくる雨音を
黙殺し続ける

ようやく辿り着いた
地下鉄の入口から
唐突に吹き上げてくる風は
わずかばかりの正気を
取り戻させてはくれるけれど
自動改札を何度すり抜けても
行き先の書かれた列車は
プラットホームに入ってこない

雨曜日は続く


自由詩 雨曜日 Copyright nonya 2009-06-09 19:48:25
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