声を忘れた僕
こめ

小さな赤い宝箱のなかには

赤い血で練られた

犬の人形が一人

教会のステンドグラスでは

神が僕らを見下していた

見えない手によって

人々は屍となっていた

何もしてない

ただ生きているだけ

みんなと同じなのに

なのに何故僕だけを

いじめるのだろうか

その真理が知りたく

今日も教室の隅で

狂った用に泣笑っていた

最終兵器など必要ないのに

また今日も産み出す

人間の盾で前に出る

助けを呼びたくて

声を上げた

けれどでたのは

僅かなかすれ声

久しく声を出していなかったから

声の出し方を忘れてしまったよ

そんなもがき苦しむ

僕の横を平気で素通りしていった

誰か僕に気付いて欲しかった

この腕を掴んで欲しかった

けれど声を忘れた僕には

どうすることもできなかった



自由詩 声を忘れた僕 Copyright こめ 2009-06-07 00:18:18
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