伏竜
千波 一也



雨のなか、

竜が
咲いていた



それは

瞳が
見たのだったか、

耳が
聴いたの
だったか、


あまり上手に
思い出せないけれど、


 あ、お、


夏には遠い未熟な夏が
空へと一途に
澄み渡り、

ぬくもるような
胸の痛みが
目を
覚ます



雨のなか、

いまでも竜は
咲いている


透明に、
ひとつの雨の
無限を
翔けて


降りそそぎ、

降りそそぐ日を
咲いている








自由詩 伏竜 Copyright 千波 一也 2009-05-31 12:41:55
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