山中 烏流





*もぎとる

少女の頬は、
うつむく程に
色味を増す/と、同時に
大人であることの意味を添え
甘く
そこに増して、赤く
刻々と刻むように
ただ、坦々と
熟れていく
のだ


*きりとる

優しく扱うと
触れてしまった指が
先の方から
ぱちん、ぱちんと
弾けてしまうので
切り取るならば
もっと
荒い方がいい
少女も実を言えば
それを/それこそを
望んでいるのだから


*あまおう

みずみずしく、
少女の夢は
臨月を迎えたのち
抱いたものの大きさに
食い潰されて
飲み込まれてしまう
いつのときも
そうであったことを
誰しもが知っていて
知らないようなふりを
している


*とちおとめ

乙女を名乗る少女に、
乙女なんて存在しない。









自由詩Copyright 山中 烏流 2009-05-31 03:08:10
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