夏至
非在の虹

栗の花の下を雨が降る
そこを通り抜けるから
貧弱なころもは着ない
ならば裸体か それも
トルソの形がふさわしい

   夏という夏は虫の仮装をして栗の花に集う

これは別れた恋人が私のノートに書いた言葉だ


女たちが集まってきた
その中には別れた恋人もいる
彼女が書き付けたノートは
ここに置いて行こう
梢は視界から背後へ移り
びっしょりと濡れて
死んだ羽虫で皮膚はぬるりと
雨の森を私は抜けた


自由詩 夏至 Copyright 非在の虹 2009-05-30 17:06:52
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