オウムの歌
伏樹

死んではいないのだね
そんな囁きが体中を循環している

いつからか
私の胸にオウムが居座っていました
住ませてあげているのか
住んでもらっているのか
もうよく分からないけれど

生きている時は
いつもオウムは静かでした
悲しくなって
死にたくなった時だけ
オウムはいつも鳴きわめいていた気がします
「死んではいないのだよ、それでも死んではいないのだよ」
何度も
なんども同じことが繰り返されていて
体の中で
こころの中で

『オウムは頑丈な鳥かごの中に住んでいるけど
 可哀相だと思ってはいけません
 鳥かごを開けたら
 それは罪です
 それが聖人の教えなのです
 鳥かごを開けるのは、
 他人のためだけ
 それが、教えなのです』

じぶんのために
開け放ちたい私は、ばかですか

いつも
誰かと抱き合った瞬間に
その瞬間に
オウムが胸から飛び立てば良いのに

そう
ひっそりと願っている


私はきっと
オウムには生まれ変われない

「死んではいないのだね」
朝起きる度に、その囁きを胸に感じるのを
私はオウムと名付けた

生きているよ、とうたえないかわりに




自由詩 オウムの歌 Copyright 伏樹 2009-05-24 16:29:03
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