春海
宮野
ゆるやかな曲線を描いていた
やわらかい海で溺死していたら
待ち侘びた春もいつの間にか
逃してしまって
後悔よりもただ無情のため息が出た
手のひらから零れおちるのは過去の欠片で
それ以上進めない記憶の電源を切る
依存する場所さえもなくしてしまったから
もう夏になるというのにまた
春を待ち侘びている
自由詩
春海
Copyright
宮野
2009-05-17 23:32:35