雨の夜の底で
朽木 裕

雨の夜って好きだなぁ
ソルティドッグ片手に呟く夜中の二時
ベランダの手すりには雨粒がいっぱいで
むきだしの足のウラに冷えたコンクリィトが気持ちいい

夜って水の底みたい
キレイに澄んだ水の底

静かに水も揺らさず沈んで朝を待ってる
音は夜が吸収していく この雨音すらも

水底なのに雨が降ってるなんておかしいな
アルコォルで火照った躯に夜風がやさしい

夜の天蓋をみて水面を想った
朝がくれば水はすっとどこかにひいてしまうのかな
そうして夜がくるたび沈むのだ

静かに静かに水底へ

ならばベランダでアルコォル摂取している私も水の中の住人だ
浮力なんてものはきっとないんだな
あるのは月の引力 死を想う気持ち
それらを孕んで夜の底にただ沈んだ


自由詩 雨の夜の底で Copyright 朽木 裕 2009-05-16 22:58:07
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