gift

プラスチック
展示ケースの中の身体

柔らかに保存された眼球に
尊いという意味の
生きる日が見えるようで

僕らはただ

神様を思い出した


しなやかに

細胞は明日へと伸び

計算されつくされた
神経系の論理の糸は
笑って泣くために曲線を描く


その世界の全てから

命はいつでも最善を選ぶ

生きようとするために
死んでいくものがあるのは

やるせないほど悲しいけれど


プログラムに従って
いなくなった細胞たちは

今ごろ幸せにしているだろうか


買えないものも
代えられないものも

最初から持っていたのだ

持て余すほどの贈り物

それでも僕らは
傷つけながら生きるのだね


楽園を去る彼らに言えること


例えばこんな言葉かも知れない


「くれぐれも」


その身体ギフトを大切にしてくれと







自由詩 gift Copyright  2009-05-14 20:41:36
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