引き出し
1486 106

僕の心の中にある引き出しは
誰に見られてもいいように
いつも綺麗に整頓してある
みんなはそれを見て綺麗だと言う
たまに散らかしたままでいると
らしくないねなんて言われる
だからみんなには話していない
見えない場所に鍵の掛かった引き出しがあることを

みんなには見せられないもの
貰ったり拾った見せたくないものを
こっそり閉まってはすぐ鍵を掛ける
だから自分でも中に何が入っているのか分からない


時々はこの引き出しに気付く人がいて
鍵はないのかとしつこく聞いてくるけど
たいしたものは入っていないと答えれば
それ以上詮索されることはなかった

だから自分でも存在を忘れかけていた引き出しを
君はどこで手に入れたのか合鍵でこじ開けて
無造作に詰め込まれた引き出しの中身を
思ったより悪くないねなんて言ってくれたから
僕はずっと前になくしたと思っていた
真珠のネックレスをプレゼントしたんだ


自由詩 引き出し Copyright 1486 106 2009-05-09 12:55:04
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