夢物語〜昔話と幻想と〜
もこもこわたあめ
赦してくれる君の そんな君のまなざしに
ただ ボクの昔話を
触れれば 溶かしてしまえば 切り刻まれる
決して誇らしくはないけど それでも ボクの真実
たとえば十年の昔 ボクには
君ではない
親友でもない 恋人でもない けれど
好きになれる人がいました ただひとつを共有できる そんな人
その人はとても自由で 纏う翼は空のように澄んで見えた
大きな優しさを従えて 羽ばたく姿は空そのものだった
ボクはそのとき 内面の弱さを見せてもいいと思った
この人なら と
確証はなかったけど 確信はあった
けれど ボクの心はボクのおもうよりも相手には受け入れがたいもので
深く触れようとすれば 相手を傷つけ自らも傷つける
傷口は容易に塞ぐ事はなく 長きに渡りその人と自分の心を蝕み続ける
そんな仮面をかぶった殺人鬼のような心には 誰も近づかなくなった
近づけなくなった 近づけたくなくなった
それでも 何度も相手を傷つけないように 何度も
・・・・・
いつしか
優しさなんて幻想はただ苦しいものでしかなくなって
安らぎなんて求めるほどただ苦々しいものでしかなくなった
君のまなざしが 次に何を映すのか見据えて
色にたとえるなら漆黒いえる心を前に
恐れか憂いか 戸惑いか哀れみか
・・・・・決意か