リアル
モリマサ公

ママが「神様の皮下脂肪的な曇天」とリアルに繰り返し呟く
このひともあたしで
ココにいる全部があたしかもしれない
また瞳孔が開いた場所から見られている
瞬間ごとに目標を疑わず
足の裏側にある踏みつける部分
つまり
発光するおびただしい光の群れであろうが
雪解けにぐずぐずの泥であろうが
ただ道のりだという意味というだけで
地上との接点をおびきよせ
侵入をくりかえす
カルマ
呼んでねーよ
って毛穴を全開にしてるあたしから
激しくたちのぼる湯気のようにまた怒りがわき
乾いた悲しみがそれを全て吹き飛ばし
ききなれたあのなまなましい声が声じゃない形で
咲き乱れ茂りあらゆる残虐めいた方法論で時間という軸を空論にしないまま
現在の中を加速していく
まじかよ
あらゆる人型の輪郭で
いろいろな色の体液がまじわりにじみながら
するこの頭痛が誰のものかまだ誰も教えてはくれない
これは文字に置き換えられることの無いコトバと音で
ちんけないくつものため息と等価にこのデルタに充満している酸素だ
嘘の無い歴史を経験という意味であらゆる角度からじかに生肌に刻み付けて
ひとみを閉じないでするかぎられた行為や閉じて研ぎすます思考の果てにくる
鮮やかに突き返される絶望の苦みとか
くりかえし引き返してくる希望の極みに
どこも震えないよう体中の筋肉に力をいれて重心を下げ
四角く区切られた垂直なビルたちの隙間に
失われながら雲が染み込んでいく空が落ちるように砕け
その鋭いかけらをばかみたいに全身に受けながら
まだ生き残って立ってる自分自身が輪郭を変えていく
ばらけた各部位はそれごとに意識を失わないまま散らばっていき
あらゆる人型のようなそれぞれに吸い込まれ
ぞろぞろあたらしい寝床へと帰って
そこにもあそこにもまだ明日がある
これがリアル


自由詩 リアル Copyright モリマサ公 2009-04-20 16:52:53
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