河口の沈船
北村 守通

座礁した
廃棄された
和船の上に
鳥は立つ

乳白色の水面を
じっと見つめている

座礁した
廃棄された
和船から
鳥は飛び立つ

船は再び
ひとりぼっちだ

乳白色の水面が
ゆっくりと
船を覆う
やさしく
冷たく
故に
温かく
船を覆う
船は夢をみているのか
船は夢をみることすら忘れるほどに
深い眠りについているのか
船をかじっている
プランクトンやら
海草だとかの
その音が
響いてきたから
鳥は
飛び立ってしまったのだろうか


自由詩 河口の沈船 Copyright 北村 守通 2009-04-18 03:14:25
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