Days
百瀬朝子

 一

退屈と虚無が蓄積された日々
人生という大それた響きが
重くのしかかるから
あたしはかしいでいく

日々が圧縮されて
密度を濃くして体積を狭めていく
その重みは保ったままで
あたしはどんどんかしいでいく


 二

大切な日々はひび割れ
亀裂から悪意が侵入する
あってもなくても傷ついてしまう
其の実、乱暴な存在に
踊らされる日々
笑えない 笑えない
悪意にまみれた君の口は嘘っぱち
悪意のない君には思いやりが足りないみたい


 三

思い出のスクラップ
お気に入りの日を切り抜いて
糊で貼りつけ眺めてる
それ以外の思い出は燃えるごみの日に出すけれど
収集車はそれを残して去っていく

思い出は捨てられない
なくすことがあっても捨てることはできなくて
日々は密度を高めていく
誰かに託すこともできず
あたしの中に積もり積もって重くなる


 四

サイケデリック様、こんにちは
あの日、夢でお会いして以来ですね
すこし痩せたようですが、お変わりないようでなによりです
今度はいつ、お会いできるでしょうか
そう遠くない未来がいいのですが


 五

やっぱりつらいよ
荷が軽くなったなんて錯覚で
ほんの少しの間、その存在を忘れていただけのこと
日々は錯覚
手をほどこせば如何様にもできるけど
思い通りになるのとは
まったく違うことだった


 六

あたしの中の退屈が目を覚ます
(何もしないで何をしているんだろう)
ふと浮かんだ疑問は
焦りや不安を頼りなげに結びつけ
それでも確かな危機として
あたしの心をおびやかす

あたしの中の虚無に孤独が巣食う
仲良くなれない
似たもの同士
反発しあう磁石になる

この目の前で繰り広げられる日々の中に
あたしは居る
すでに存在しているのだ


自由詩 Days Copyright 百瀬朝子 2009-04-14 21:57:22
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