砂木

冬の寒さと共に降り積もった雪が
通り道から寄せられて 
田畑や山のすそに高く圧せられている

春の陽射しは明るく雪に反射して
溶けて滲んだ水の粒がキラキラ
やがて沁み込んで行く雫が
空の下へ黒い土を目覚めさせる

山の斜面についていた足跡
幾日も消えずに晒されていた
動物の降りてきた印も
季節の巡る中 姿をみることもなく
生涯の一つの場面として通りすぎる

スコップで砕く白い雪
吹雪のつぶても 月の光も
行方を忘れさせたけど

今 春が迎えにきた
心に積もる白い場所についていた
侵入者の傷つけた跡が
暖かい 春の花々の咲く予感に
屈していく




 


自由詩Copyright 砂木 2009-04-11 19:37:40
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