桜の音(ね)
umineko

幾重にも
重なりあって咲く花を
うとましいと思ってた

たとえば

やさしさが
それに似ている

見送る母は
いつも多弁で

服装のこと
カバンのこと
髪型のこと
友だち

うるさくて
うとましくて
でも

今ならわかるんだ

あふれんばかりに
咲く花の
やわらかな重なりを

その
ひとひらひとひらの
透き通るほど
遠い孤独を

ようやく
私は受け止める


もう
暮れるほど季節が過ぎて






自由詩 桜の音(ね) Copyright umineko 2009-04-04 23:53:52
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