渦雫
砂木

歌の缶詰がみつかった
黒く水を吸った
砂浜の海揺れる昼間

味を知らない白い鳥が
つついても 食べられないから
不機嫌に おいていく
黒く夜を吸った
砂風の渦過ぎ去る木陰

のまれて 逃れて
散っていくつもりなのに
ひとつたの枝のように
からまるしぶき
親しむ 雫

きけないものが 
あると思うからきこえる カラの

うたえなかったものの 缶詰


自由詩 渦雫 Copyright 砂木 2009-04-01 21:31:45
notebook Home 戻る