無情の浜辺
銀猫

晴れて
水平線のまるみが遠い
海岸通りに迫る波は
テトラポッドに砕かれて
泡ばかりたてている
その水は
まだ冷たかろ
けれど青、
翡翠いろならば
思わず爪先で冒したくなる
散らばった巻き貝の角は
ちくりと足を刺すのだろ
浜では千鳥が糧を探して
ちちり、ちり
幾何学模様を残す
海、
今日なぜ濁りいろ
わたしは
東の風と此処へ来た
ひとりぼっちの
漁船の鼓動を聴くためでなく。
ああ
砂浜から水際へ
誘われて同化しても
密かな粒子は粗いままだ
春の海
気紛れに波打ち
なにも洗い流してくれず
わたしは砂に
俯くばかりで





自由詩 無情の浜辺 Copyright 銀猫 2009-03-27 22:12:30
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