雨の日のおるすばん
銀猫

予報どおりに
夜半から雨
街灯に照らされた水滴の連なりは、
白く
夜の一部をかたちにしてみせる
舗道の片隅ムスカリは
秘密を蓄え
雨に味方する
さわ、わ
さわさわ風に
雨糸揺れて
季節の目盛りよ、一ミリ進め
さわ、
さわわ
夜更けに降るのは
散ったさくらのお弔い
いつかの宴はもう遠く
花びら集めた冠は
枯れて散りちり、
もう枯れて
摘んだてのひら
冷たくなった
細かい静かな雨粒は
若葉の葉脈に隠れて
明日晴れるを
恨んでいる
さわわ、
わたしはこころに傘さして
今夜の夢見を願ってる

(だれか髪を
(そっと撫でてください




自由詩 雨の日のおるすばん Copyright 銀猫 2009-04-25 01:57:55
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