ダイオウグソクムシと
小池房枝

水族館で
深海コーナー
ダイオウグソクムシ水槽の前で
しゃがみこんで
ひらひら

なんとまぁ
水族館のスタッフは
餌付けに成功したらしく
(それまで何食べてたんだ?)
最近では
グソクムシ水槽のほうで
マサバ丸ごと骨になるまでショータイム
とかもあるらしい

そのせいか
そのおかげか
今までは
しばらーく見てても
人波のゆるす限り見てても
ぴくりとも動かなかった彼ら
ときどきどこかしらひくひくとか
ぴくぴくとか
慣れてきたんだろうかね
ここの暮らしにも

ああ
そうなんだよね
君の目は丸くなくて真っ黒で
文字が流れない電光パネルのよう
適量の光だったら感知できるのかい?
水族館に来てからはずっと
まぶしすぎてブラックアウトしたままか

驚いたことに
口をぱくぱくさせるから
こちらも手をひらひらさせて
会話
ダイオウグソクムシと
座り込んで
水族館の深海コーナー

ぱくぱく
ひらひら
・・・ぱくぱく

文字にして三行分だけ
ぜんぜんことばにならないことを
ああでもわかるよ
さばたべた、さばたべる、だろう?
わたしもそのこと言ってたんだよ
さばたべただろう?
さばたべるんだねって


自由詩 ダイオウグソクムシと Copyright 小池房枝 2009-03-26 21:09:16
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