飲み会での調停【随想】
北村 守通

 実はワタクシ
 俗に言われるパワハラで会社辞めました。二回ほど。
 原因はまぁ、ボクが仕事覚えが悪くって常識が無い、というところであったりしたんですけれどもね。そうすると上司の指導というものは、「こいつはなんでこんなことすらできないんだ」というイライラを溜めるに溜めさせてですね、受ける側にしてみれば指導を超えるわけですよね。もう、ボクに対して口が開かれたら嫌味、ボクの顔を見れば嫌味といった感じでしてね。言う方も相当たまっていたんだろうなぁ、とは思う。で言うことによって自分の中に鬱憤を溜めないようにしていたんだろうなぁ、とも。でも、やられるこっちとしてはたまったもんじゃない(笑)。よく電車に飛び込もうとしたりしたんだけれど、それやっちゃうと賠償金が、という話を聞いていたので、結局出来なかったな。いやね、なに電車のライトが誘うんですよ。
 まぁ、その上司とボクとの間に緩衝材となってくれる人が存在していたらこんな思いはしなかっただろうなぁ、と思う。(実際、一つの職場ではそうなってくれる方が二回ほど存在して、その時は苦しみは確かに大幅に和らいだんだけれども、何故かお二人ともすぐにボクより先に辞めてしまった(笑))
 ボクのそうした数少ない経験から考えると、人間同士お互いに不平不満を言い合うことができるのは確かに当然なんだけれども、自分のおかれている信頼関係や力関係のバランスについてしっかり認識して言い方なり表現の仕方なりを考えておかないと、それは一方的な圧力にしかならないのであって、平たく言えば『いじめ』になっちゃう。だから実はボク自身もどこかで誰かに対して高圧な態度で臨んでいるのかもしれないし、本人に苦痛を与えてしまっているのかもしれない。それが怖い。しかし、そこに間に立ってくれる人が居るならば、それはきっとやわらげられると思う。不平不満やいらだちを直接該当する人間にぶつける前に、その間に立つ人にまずは相談できるから。
 
 こうした『間に立つ』人間の存在で、解消とまではいかなくとも緩和されるケースというのは少なくないと思う。因みに『間に立つ』人間は、基本的に何をしなくても良い。強いて言うならば直接吐かれようとしていた言葉を酒の席やら何やらで聞いてあげるだけだ。

 自分のハラスメントの経験が、仕事関係だったものだから、えらく職場のハラスメント関係で前説をとってしまったけれども、飲み会なんかで発生するハラスメントについても同様で、気付いたあなたが『間に立つ』ことで水を差してあげれることが多い。

 例えばこんな感じの流れで
 
?まず、『こいつ、明らかに絡みすぎじゃぁないか?』と思ったら、近くの人に声を掛けてみましょう。「○○さん、大丈夫ですかねぇ?絡まれてません?」とかね。これで、自分だけでなくほかの人にも注意を促しておいて、できることなら協力体制を整えておくわけですよ。
?とりあへず、場を止める。といっても飲み会参加者全員に対する共通のアナウンスだったり話題振り。次のドリンクのオーダーをどうするか、だなんてことでもいい。ともかく少し大きな声で呼びかけ、いったん加害者の意識も被害者の意識もこちらに注目させる。
?仮にドリンクのオーダーだったりした時、加害者のドリンクはあなたが届けてあげよう。そしてそのドリンクのことで話のきっかけをつかんで、加害者と被害者の間に割り込む。うまくいけば被害者は別の人と話すタイミングを得ることができる。まぁ、こんな感じでドリンクでなくとも『間に立って話を聞く』ことによって距離をずらす。
?それでも攻撃が止んでいないとき…何か理由をつけて移動させる。理由はなんでもいい。以前撮った写真のこととか、遊びのスケジュールについての相談があるだとか、まぁ理由はなんでもつけれる。そうして距離を離しておいた時に、本人が今の状況から脱したい意思があるかどうかもできることならばやんわり確認しておくといいでしょう。『絡まれてるけど大丈夫?席換える?』とかです。それでやっぱり換えたい、というのであれば同性のグループの中に席をチェンジさせてあげましょう。あとは協力者達とつるんで加害者のご機嫌を損ねないように囲んで飲んであげましょう。

 と、いう具合。あくまで一例ですけれども、ともかく『間に立つ誰かの存在を作る』という形で。穴は色々ありますよ。こんなもんで止まらないタチの悪いおっさんいくらでも確かにおります。しかしまぁ、必ずしも羽交い絞めにしたり、実力行使したり訴えたりすることだけが方法ではなく、影響が大きくなる前にやり様はいくらでもあるよ、ということは考えておいて損はないと思います。あと、?において協力体制を作っておくことは絶対に忘れないようにしておきましょう。
 因みに・・・前述の方法ですけど、混声合唱団の女子団員が男子団員に絡まれていたときによく使っていました・・・。

 まぁ、だからですよ・・・
 
 ?、?、?の様な行動を誰かが起こしているようでありましたならば、ちょっと飲み会の会場を注意してもう一度眺めなおしてみてください。そして該当しそうな動きがないとしたら・・・絡んで迷惑かけているのは




          おまぇ!


                 なのかもしれませんよ。



散文(批評随筆小説等) 飲み会での調停【随想】 Copyright 北村 守通 2009-03-22 11:43:38縦
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