空は響いて
木立 悟
あばら骨を浮き立たせたまま
空はどこへ埋まろうとするのか
墓地の土は硬すぎるのに
操車場の跡は狭すぎるのに
まわりながら燃えあがるかたちを
位置も時間も持たないものが
さまざまな姿ですぎてゆく
羽のうしろに隠れた笑みが
驚いたように咲いてゆく
通りすぎる人々の
左の頬に見える花
次々と次々と現われる花
けしてけして消えることなく
重なりつづけるばかりの花
光が光の手をとって
影のなかを駆けてゆく
猫は片方の目をあけて
小さな遊びを追いかける
空は響いて
腕の輪のまま
なにもないかたちの
小さな鼓を抱き
光の声を見つめている
自由詩
空は響いて
Copyright
木立 悟
2004-08-23 00:42:18