カルピス
あ。

カルピスの底みたいな白濁色に
おぼれてしまう人を笑うことなど出来ない


明かりがいつも灯っているわけではなく
でも闇ばかりというわけでもない
はっきりしない色に囲まれて
遮られた視界を嘆く


いくらもがいても出られないなら
いっそこのまま浮遊すればいい
大声を出して喉を痛めるならば
何も語らなければいい


飲み込まれてしまうことを
どうして悪いと言えるだろう
流れに流され漂っている人を
誰が責めることなど出来るだろう


暑い昼間に母が作ってくれた
氷がからころと浮かぶカルピスを思い出すと
ほんの少し胸は痛むけれど



自由詩 カルピス Copyright あ。 2009-03-20 18:46:29
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