哀の劇場

年越し派遣村の村長、湯浅誠さんは
厚生労働省に真摯たる対応を求めていたけれど
村に設置されたハローワーク
就職希望者は数人しか居なかったらしい
国会周辺を、デモ行進したけれど
憲法を守ろう
消費税値上げ反対
9条と書かれた たすきを肩に歩く青年

炊き出しに並んだ人々
仮設テントで年越しした人々
テレビや新聞でクローズアップされる派遣切りの若者たち
見出しは悲しいけれど
派遣切りされて二十日間で二十万を使い切って、そのままホームレス
月収三十万弱の寮生活で、貯蓄無し
その実情は
まことに喜劇である

そんな喜劇のスポンサー広告が
ニュースとニュースの隙間から盛大に流れてくる
ダイナムは今日も新台大入替
マルハンは昼から新装大回転
始めてのアコム
ご利用は計画的に
これもまた
ひとつの喜劇である

そうした喜劇の演出者たちに踊らされて
生活保護の受給額ばかりが増えてゆく
観客は、税金でチケットを買わされたことすら理解せずに
嫌な世の中になったな、と
お茶を啜りながら
呟いている

可哀想ね、なんて誰も言わないから
これも、また 喜劇


自由詩 哀の劇場 Copyright  2009-03-17 15:47:33
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