【まえがき】
賢治のエスペラント詩稿は、日本語作品と対応した幾つかの断片が遺されており、下記のリンクで参照できます(エスペラント詩人の解説付き)。ここでは、詩「凶歳」に関連する残存断片と自筆の挿絵を手がかりに、詩「火薬と紙幣」などから補充して、4韻ソネット形式のエスペラント詩を作ってみました。なお、財団法人日本エスペラント学会中村様より人づてにご教示をいただきました。ありがとうございました。準拠:Kalomano Kalocsay: "Parnasa Gvidlibro"
※賢治のエスペラント詩
http://www.hh.e-mansion.com/~sibazyun/ali-trad/poe-miyazawa0.htm
※エスペラントの発音・読み方:
http://www8.plala.or.jp/lumidina/alphabet.html
http://ja.wikibooks.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88/%E6%96%87%E5%AD%97%E3%81%A8%E7%99%BA%E9%9F%B3
http://plaza.harmonix.ne.jp/~sakat/top1.htm
試聴:
http://www.webcom.com/~donh/ecourse/esounds/esounds.html
Sur la flavan herbtrapezon
alcelante l'placan mezon
kolektig^is animaloj
sub ondantaj glacaj maroj.
Sur l'altaj^o flavvelkanta
staras rozbetulo sola,
fone ardas arb' juglanda,
s^tona cidoni' pendola.
Digne rau~ka voc^' sonoras,
el l'arbara fund' humida
olda kverka elf' parolas:
"Febr' infera resumita
nun, reveng^i nin avida,
homojn forbruligi volas!"
【和訳】
黄色な草の梯形のうえ
めざす広場のまんなかへ
獣たちが集まった
波だつ硝子の海のした
きいろく枯れるその丘に
紅色の樺ひとつ立ち
とおく耀く胡桃の木
堅いまるめろ 実はゆれる
みよ しわがれた声響き
森の湿った底いから
老いたかしわのエルフ告ぐ:
「あまた地獄の熱病は
いまやわれらの仇
貪りて
人ら灼きつくさんと欲
るなり!」