財布
K.SATO


僕はつなぎ止められている
外からなされて その
手のひらを薄っぺらいコインに握らされている
テーブルへ その上から伝って

シャツにその 僕を 流れこむ
しかし人をその小ささへそわされていくのなら
けれど一体何を見るのかと 君たちの明日へ 今
洗濯物を挟みこむ

未来を旅立たれた先に
窓にかけた指の
過去から何が起こってこようとも
いくつものやつれたくつ下を引っ張りこんでいく

僕の旅立とうとする風の矢の先に それは
この財布ではないのだ あの 大きな雲がある太陽の
遠い海が呼んでいる
干すための今日を揺れるところ


自由詩 財布 Copyright K.SATO 2009-03-07 01:49:23
notebook Home 戻る  過去 未来