波の行方
高橋魚

過ぎ去った私は波となって
ジーンズを染める

そのジーンズの膝の辺り、裂けて、
そこには
空白が存在する

針と糸などでは決して埋まることの無い空白

大勢の波達は
誰かによって遠くへ連れ去られてしまう
今、この瞬間も、次々と、どこかへ、

仮死状態の
多くの私たちは
いつか砂浜へ戻り
空白を埋めてくれるのだろうか


自由詩 波の行方 Copyright 高橋魚 2009-03-05 01:11:52
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