竜門勇気

軽トラの荷台に
膝かかえて
恋人も失ったし
つまんねーことで
疲れすぎてる

今夜はお月見だ
ほらくそったれども
みてみろよ空
みてみろ夜空

車は事故ってぼろぼろだし
足は栄養足んなくてガタきてるし
うまくものを思い出せない
覚えることがうまくできない

よく見たら月は
空に浮かぶ瞳みたいさ
グッドイブニング
よく晴れたフルムーン
あなたの見る世界は
何色に輝いていますか
僕の姿が見えますか?

春は花をみて
夏は海をみて
秋は月をみて
冬は雪をみてさ


何か見るもんがあるってのはいーね
いつもはまあくろな空が
少しあかりーのさ

ゆっくりおらー
うつむいて
考えなんかを
いったん止めて
オーバーヒートだ
薄ら笑い

僕らの世界は
何色に輝いてますか
お月さま
見えてんのかよ
辿り着くのは
そんな世界だ
新しいのは時間だけだ
何もかも古くなっていくのさ

前髪ごしに
見上げたよ
涙一粒
ぼろり溢れて
「月がきれいだなあ。」

いや、わからない

明日がくれば
また長くて
暑い悲しい日が始まる
それでもゆこーよ

あしたもゆこーよ
僕らはゆこーよ
このままがいーか
昔がいーか
明日は何か変わるか
試すのも悪かないよ

いーことあるよ
やなことのほうが
何百倍もあるけど
感じる心がなければ
無いも同じさ
感じなきゃいーのに
舌噛んじまった
涙が一粒
手のひらにぽとり
「月がきれいだなあ。」

いつか
あのこが帰ってきたら
どこへいこーか
なにをしよーか
夢の話です
目を開けてみる夢ではありません
眠りながら見る夢のほうです
可能性がなくなってから
希望が残ってるのは
残酷だってこと

希望なんかもってるのを
悲しく思います
空が月一つで明るくなるように
僕の心の
どこまでも照らしちまう月
激しく泣きじゃくりながら
「月がきれいだなあ。」

涙こらえて
頭かかえて
衝動をねじ伏せる
むりやり見上げたよ
顎から落ちる
雫が一つ
「月がきれいだなあ。」

月がきれいだ

そう

月が

とてもきれいだよ


自由詩Copyright 竜門勇気 2009-03-02 09:55:32
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