あなたは満開の桜が嫌いだと
たりぽん(大理 奔)

桜の咲く春が嫌いとつぶやいたひとの
手鏡に映したそら、霞のようにたなびく
僕は戦うだろうあなたのために
僕は祈るだろうみんなのために


満開の花は汚れたあおを覆いつくして
春というかたちで、もしくは
雪が隠した泥のように
僕をほんとうから遠ざける

  (誰かを愛することは誰かを憎むことに似ている)

足下に散る花びらもあれば
まだ咲かないつぼみもある
それでも桜は満開

  わたしはみんな、が好きなんじゃない
  ひとひらだけが欲しいの、といったひと
  僕は戦わない、みんなのためには
  僕は祈らない、あなたのためには

  (みんなを愛することは、いくさと似ている)

桜を愛するように
憎むようになるのだろうか、僕は
みんなを愛するように
すべてを憎んで
雪が隠した泥のように
ほんとうから遠ざかり

  



自由詩 あなたは満開の桜が嫌いだと Copyright たりぽん(大理 奔) 2009-03-01 23:41:15
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