ヒステリカル-ロジック-01【最終都市計画破綻状況】
北街かな
するどい飛沫が落ちてきた破片から激しく噴き出して
羽ばたき何羽もの鳥になり、数は増え
遥かまで列になり、大群なのです
日差しが目を焼くものだから
私は暗いも明るいもわかりません
このような壊滅は聞いたことがないのです
こんな世界の終わりなど遭遇したこともないのです
あなたに触れたまま死んでみてもいいですか?
嘘です、ごめんなさい。死ぬ前にいちど言ってみたかった
そんなに怒らないでください、不機嫌そうにしないでください
忘れないで、私に愛されてみたことを。
ごめんなさい、捏造です
あなたが生きるために私が死ぬのはどうですか
だめでしたか
しかし、その困られたお顔が好きです
自分を抱きしめたら手首が肋骨を貫いて背中から出てしまい
両手でパタパタ羽根を作ったので
私は天使になったんだと思いました
もう死ぬ真似もしなくて済むと思いました
これでひとっとび、あなたのその身をさらいにゆける
どうかそんなに怒らないで、不機嫌そうにしないでください
十ヶ月前の口づけ入籍 初夜にハレルヤ、忘れないで
嘘付きました捏造です でもここにいてください
居てくれないなら死んでやります
狂言でしたそうですか
実はあなたとの過去などなくて
壊れて、さらわれて、台無しになって。
最後にふっと笑って下さい
笑われてください。嫌ですか?
飛沫は水鳥になり水平を逆さまにしている
我々は形を失えどもなおのこと大群である
太平洋から宇宙までが水に満たされて
月面もようやく近くなりました
では、もういちどはじめましてさようなら
きっといつか、ひさしぶり
いつかの某日某時刻には
出来ればここで会いましょう
生気の消えた壊れた区画に、くるったように羽根が降る
西日を絶望の翳りが覆いつくしたから
私たちは全力で誰かを愛そうとしたのです
あなたに触れたまま死んでみてもいいですか
しつこいですか。離れる前に一度でいいから言ってみたかった
失う前に、手に入れたことにして留めたかった
このような別れ、
記憶したことなど無いと笑い飛ばしてください
そう
その、私を軽蔑する瞬間の絶望が世界の終わりですから
昇天するまで中天で
あなたを放さず癒着してたい