こどもをつくろう
にゃんしー
(ポエトリーリーディング:http://www.myspace.com/slymelogue)
こどもをつくろうぼくらはなんて
そんなに強くはなれません
愛する痛みをおしえてくれた
ひとでした
止まない雨が止むように
終わってしまった恋でした
涙で滲む夏の空
花火がおっきく舞い上がる
蚊の啼くような「さよなら」が
聞こえるたびに寝苦しい
夜を越えても覚えてる
小指を結んで夢をみた
線香花火が震えて落ちる
消えてく匂いは誰のものだろう
命はやがて終わるのだから
気持ちがずっと残るのでしょうか
こどもをつくろうぼくらはなんて
そんなに強くはなれません
愛する弱さをおしえてくれた
ひとでした
向日葵のように上向いて
太陽眩しく涙出た
零さずすくった幸せは
ひとりで持つには軽すぎて
空に浮かんだ思い出が
上昇気流で雨降らす
傘を持たないぼくだから
泣いてないよと笑います
種を残さず枯れてく向日葵
思い出なんか未来にならない
今年も空が低くなった
あなたはずっと変わらないのに
こどもをつくろうぼくらはなんて
そんなに強くはなれません
まあるいおそらにうかんだえくぼ
かえしてよ
開かないドアが開くように
始まってしまった恋でした
あなたがいないあたらしい
日々で見つけたタカラモノ
行く
未来のない告白は
言葉にされることもなく
代わりに小さな花になる
風が吹くたびおもいだす
夏が終われば秋がやってくる
ヒグラシが鳴くさびしそうだね
手をにぎって強くおもうんだ
飛んでけそらに夏の残像
あなたがのこしたわすれもの
届けるあてなく捨てるすべなく
ただ生き続けすれ違う
誰かによく似た息遣い
こどもをつくろうぼくらはなんて
そんなに強くはなれません
あいするあなたに教えたかった
夕焼けを
こどもにみせようぼくらはなんて
そんなに弱くはなれません
こころのなかにもたまった陽だまり
さわってよ
こどもをつくろうぼくらはなんて
こどもをつくろうぼくらはなんて
こどもをつくろうぼくらはなんて
あなたの代わりはどこにも居ないのに
本当にあなたを愛したことが
だんだん嘘になってくみたいで
こどもをつくろうぼくらはなんて
そんなに強くなれたらきっと
手を繋ぎぎゅっと思い出話せば
未来を信じたあなたがいる
未来を信じたあなたがいる