愛人たち
吉岡ペペロ
おくではおまえの子が寝ている
いつつの子の眠りには
わたしたちの情事は聞こえていなかった
おまえの朱い下着は
すぐくしゃくしゃと棄てられる
おまえは風呂場にひざまづき
おれのものを祈るように含んだ
あらゆる粘膜とそのさかいめを
夜しらむまで煮詰めあう
いつつの子が見ていたならば
わたしたちは体ごと
泣いているように映っただろう
もう二度と会えないような気がした
いつもそんな目をして別れている
自由詩
愛人たち
Copyright
吉岡ペペロ
2009-02-21 12:50:43