記憶
ゆるこ

 
 
(光が螺旋状にぐるぐると会話する)
 
その隙間を縫う私のみぢかい睫毛から
つまの先まで零れ落ちる
硝子のような、泥のような記憶の断片
押しては浅瀬に引く、気持ちの悪い浮遊間
 
(それはなんの漂白もされない一時的な夢/まぼろし)
 
寒い朝に呼応する
ペンキ塗り立ての更新された私
紺色の肌をちらつかせながら
絡めた赤のスカァフ
 
 
(晴れ、のち、嘘)
 
 
沿岸部のテトラポッドに吸収される
それを繰り返せば
いつかはきれいに
きれいになれるかな
 
 
(断罪、あの日を再生する、なんども)
 
ふがいない、と 唇を震わせればいいのですか
そうやって、繭でぬくぬくとしてればいいのですか
おかっぱの私はまだ抜け出せない
ローファーと 壊れた携帯を抱締めながら
 
 
(悲しい出来事は何時だって制服の中に
 密やかにねむって
 いる)



自由詩 記憶 Copyright ゆるこ 2009-02-19 07:54:36
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