体育座りで春を待つ
ことこ

乳白色の爪が引っ掻く
さきであずきがぱらぱらこぼれて
湿気た空気に波紋をなげかけ
私の鼓膜をふるわせました


窓の外では不安げな空が
徐々に緊張を解いてはいても
枝々の先は芯が堅くて
炊き上がるのにはまだでしょう


少しざらつく畳はまるで
きな粉のようにほろ苦く
互いに打ち消しあうさざなみも
やがては大きくうねります


しびれた足では立てないから
体育座りで春を待つ
抹茶が優しく泡立つまでは
糸の余韻にひたります


自由詩 体育座りで春を待つ Copyright ことこ 2009-02-18 21:08:26
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