蒼木りん

わたしはきもちわるいおんな


起きてカアテンを開けたら
月が光っていた
満月になっていくのを
たのしみにしている
満月はいつ
その日に最高の夢を
叶えたい
何度でもできそうなこと
でも
ずっと叶わないこと

わたしはむのうなおんな

行方不明の
ちいさな子供が
2月の
溜池で死んでいて
そのこうけいが脳にうつる
寒かったろう冷たかったろう
親の泣き顔がうかぶ
わたしの
足の冷たさなんて
電気ストオブであたためてる

わたしはこわいかおのおんな

夜中に
べんきようをしている
夫の携帯に着信
聴きなれないメロデイ
メエルでエエル
べつにいいのよ
ひよこが巣立つまで
家庭を壊さなければ
わたしはとっくに
悟ったから
祈ったから

わたしはくさいおんな

安いパンを買ってきて
トマトベエスをぬって
玉葱とハムとチイズをのせて
今日のおやつは
ピザトオスト
愛しているよ
おまえらだけは
だから
煙草がやめられなくて
早死にする
かもしれない
わたしを肥えてくれ


自由詩 Copyright 蒼木りん 2009-02-17 13:35:40
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