鋭角

やわらかい指先が、僕の人差し指を包み込む
やわらかい寝顔の中の、ふにふにした頬っぺた
やわらかい笑みを見つめながら、僕の目も一緒に
やわらかな田舎の夕暮れに、やわらかく溶けてゆく

風鈴の音色が、穏やかに
お母さんの扇ぐ、団扇の速度で揺れる
薄い唇は半開きになったまま
僕の膝の上、すうすうと寝息をたてている


そんな8歳の雪ちゃんを、お風呂に入れた夜
小さく尖がっている、おっぱいを見た
お風呂の中で、息止めごっこをさせられながら
ああ、女の子なんだな、って思った



ここから始まって、それが全身に行き渡るまで
僕は、彼女を愛し続けよう
朝帰りを繰り返す、彼女の母の分まで
とうに別れて久しい、彼女の父の分まで



自由詩 鋭角 Copyright  2004-08-17 22:54:50
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