だめなきもち
アンテ


なにかをしようとするたび
あー もうだめ
ゆびやかみのけのさきから
きもちのかたまりがぽろぽろころがりおちて
あたりをうめつくすので
ゆきかきのように
かきわけてもかきわけても
おもうようにすすめなくて
すっかりやるきがなくなって
あー もうだめ
ついついよわねをはきそうになった
でも よくよくかんがえると
こんなにたいりょうの
あー もうだめ
がわたしのなかにつまっているなんて
けっこうすごいことかも
などとおもいながら
それでもじりじりとすすむうち
とつぜんだだっぴろいところにでた
ひろばのいたるところで
そうじゃないよこれはこうこうこうで とか
ねえねえきいてってばぁ とか
みんながやたらときもちをまきちらしていて
わたしの
あー もうだめ
なんてこれっぽっちもつうようしなかった
しょんぼりうずくまっていると
あー もうだめ
はかたっぱしから
ちかくにおちていたきもちとかがくはんのうして
あー もうでたらめ とか
んあー どうもごめんだわ とか
すっかりかわりはててしまって
たしかにへなちょこかもしれないけれど
それでもわたしのいちぶなんだ
たすけようとしたものの
あっとうてきにふりで
みぎめから
あー もうだめ
さいごのひとつがころがりおちた
てのひらでうけると
それはとてもちっぽけで
とてもなさけなくて
そしてとてもいとおしかった
ひろばのこんらんはますますひどくなって
こぐんふんとうしていると
いつのまにか
ひとつ またひとつ
ちいさなきもちがわたしのまわりによりあつまって
けなげにちからをあわせはじめた
けっしんして
あー もうだめ
をあずけると
きもちたちはよりあつまったまま
ひろばのあらなみにこぎだしていった
あたりいちめんにあふれかえったきもちのこうずいを
かきわけかきわけ
うちへかえるとちゅう
なんどもふりかえっては
だいじょうぶ
わたしのきもちはきっとのりきれる
とじぶんにいいきかせた



自由詩 だめなきもち Copyright アンテ 2004-08-15 21:23:51
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びーだま