若い女
ヨルノテガム
マクドナルドの隅で自慰をして
汚い安食堂のうどんで身体を温める
指の指紋が剥がれるくらい
心が痩せて
今日も化粧のノリが悪過ぎるわ
明日が春で
あさっては春
しあさって夏がきて
ひと月もしないうちに冬ね
お空とネオンがそう言っている
パンストの伝センが体中に拡がって
あの男の分だけあたしの体温は奪われていく
体の芯が氷水みたく
あたしは外に出かけるわ
電車に人が乗っていない
降りる頃に人がたくさん入ってくるの
骨ばかりになった街のレントゲンを眺めて
ハイヒールの音が街の病気に手を加える
傷んだ所を傷めて
弱ったところを弱らせる
殺すのはあの男たちに任せて
*
あそこの隅で自慰をして
あそこの汁で身体を温める
指先が自分のじゃないくらい白く伸びていく
隣の男に 今日は冬なの? と聞くと
季節はわからないがあなたの待っている呼吸を
ぼくも吐き出すことがある、と。 聞こえた気がした
消え入りそうな男の背中に
顔を埋めたとき
硬い服の生地から
僅かな温もりを感じることができた
まるで春だった
あなた名前は?
仮の名でいいの