君の街を通りすぎる
kawa

君の街を通りすぎる
たくさんの灯がともる大きくて
きれいな街
遠すぎて
普段は忘れているけど
たまに、この街を通る夜
僕は後悔する


毎日つらくてくるしくて、泣いていた僕たちは
ひとつの生きものみたいだったのに
どうして別れたんだろう?
いつか映画で、幸せになる方法をきいた

『幸せが、その手にふれたなら、そいつを両手で握って、決して離さないことだ』

だけどそんなことできる人は、一体どれくらいいるんだろう


会わなくなってからも
僕はたくさんの失敗をした
きっと人は、つねに正しくは生きられない
生きているかぎり、失敗しつづける
この街で、たくさんのビルの灯りや
車のヘッドライトが流れてゆくのをみるとき
僕はそう思う
とてもとてもたくさんの灯りが流れてゆく


君は君が出会った人と
この街で歳をとり
この街で生きる
もう永遠に触れることはない


あと幾駅かすぎれば
思い出してしまったことすら
不思議になるだろう
今は何と呼ばれているのかもわからない君の
たまに新幹線や飛行機で通りすぎるだけの
君のいる街


自由詩 君の街を通りすぎる Copyright kawa 2009-01-21 17:58:00
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