電子の海
アハウ
私は何ゆえ呼吸しているのかと
問おうか
五臓六腑が絶妙な血のめぐりで
働いていると見たなら
この魂は聖なる肉体に運ばれながら
喜怒哀楽を繰り返しつつも
まなざしを対象へ向けている
昨夜のシュールな夢は何のために見たんだい
午後に
残夢の響きが消えない
やがて この青空に掻き消されるだろう
体に引っかけた薔薇の棘は夢
何のために この肺腑は
巨大な大気に切り込みを試みる?
キーボードを操る手が止まり
部屋の寒さが身に感じられた時に
私は聖別された
数多くのハンドルネームに気息や体温を感じる
街路を散策する
たおやかな足音が聞こえる
仮想の街街で出会う
電子の衣を纏った人たち
この電子の海で拾われた貝殻
戯れつづける
私は息を詰め
潜り込む