鏡面
霜天

滑り台の上で滑り出せずにいる
後ずさることも出来ずにいる
飛行機が滑り込んでくる
地面すれすれ
空気が摩擦して
夏が濃くなる

毎日を鏡に映してみても
逆さになる他は何も変わらない
少しの痛みを忘れられないから
加熱する時計を
ただ眺めている


空の夏は遠い
遠くからの決まり事なんだろう
ゆら、と揺れる風に立って
また一日を乗り継いでいく
瞼の裏で夢を見ることで
坂を乗り越えた気分になってる

鏡に映った私は
明日の夢をいつまでも知らない
昨日から今日を乗り継いで
少しずつ滑り出していく
空の真ん中で
旋回しながら
私の所へと
着地する
飛行機


摩擦して
熱を帯びる夏で
私と
鏡面が
ゆら、と
揺れた


自由詩 鏡面 Copyright 霜天 2004-08-14 02:03:42
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