人魚の詩
りぃ
もうすぐ私はこの声を失うでしょう
うな垂れた君がそう云った
魚のような足を組みなおして
煙草から灰が落ちても彼女は俯いたままだった
売れないシンガーと売れない詩人な僕らは
その言葉でしか思いを伝える手段を知らず
彼女は泣いた
私の声が届かなくなる前に
云うわ
ねぇ、愛して。
私の骨も皮も目も鼻も、あげる。
だから、ねぇ、愛していて。
唇を重ねたら
君の声が聞えなくなった
ああ、愛しているよ
声がなくても
僕は詩人だから
君の声より確かな詩で
今度は僕が想いを伝えに行くよ
自由詩
人魚の詩
Copyright
りぃ
2004-08-13 10:11:03