ゆめ 〜月と海〜
さくら

したたる、したたり、

侵食しはじめた月夜に
手足はどこまでも深く伸びている

やさしく影を包み込むようにして
月は、静かにあたたかい

当たり前のようにそこにいて
闇が照らすはずもない風を、
昨日の海に映している

やがて訪れる夕凪、
陸には、まだ、いない


遠い遠い、海から来たの
波の模様は、青だったかしら

こびりついた青は
星をこぼしはじめた空に、たしかに、あった


たどり着いた記憶の端っこでは
形を変えた日常が、しきりに叫ぼうとしている
手足の、あるいは、忘れかけた昨日の骨を
透明なわたしの手がかりとして


淡い、はかない夜は、
確かめるようにして泳ぐ

ゆらゆら、月はもう、

忘れてしまった輪郭を、夜に重ね続けて
繰り返される未来の先端に

ゆらゆら、また昨日の青をみつけては


まだ、わたしがわたしであるということに気づく



もう、 朝が生まれる


自由詩 ゆめ 〜月と海〜 Copyright  さくら 2009-01-11 11:22:27
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