祖谷山小唄
青い風

祖谷は山里 遠国(おんごく)なれば
都恋しと 思いがつのる
星がざわめき 眠れぬ夜が
幾夜続くか 鉾(ほこ)杉よ


祖谷の男子(おのこ)は 豪気な者よ
破れ衣を 身にまとえども
山に錦を 着飾りたてて
祖谷衆太鼓の 乱れ打ち


雪の深さは 情けの深さ
囲炉裏囲んで 杯交わしゃ
いつか心が 一つとなって
歌が飛び出す 粉ひき節


空を飛び交う 燕の声に
娘十六 ほのかな思い
春を待ちわび 届けと祈りゃ
祖谷は新緑 木の芽時


祖谷の女子(めのこ)は 日の本一よ
色香良いのか 平家の殿を
ここに留めて 八百年余
平家赤旗 色あせぬ


仰ぐ名山 数々あれど
剣(つるぎ)三嶺(みうね)は 言うにもないが
中津(なかつ)国見(くにみ)と 美男におわす
主さん良く似た 烏帽子(えぼし)山


御山(みやま)高けりゃ 谷また深く
人を寄せない 渓谷なれど
慕うお方にゃ 身を揺りせかし
渡れ渡れと 蔓(かずら)橋


自由詩 祖谷山小唄 Copyright 青い風 2009-01-04 09:34:52
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